
人の話や本の中で見聞きするたびに「読まねば」と思いながら積ん読10年。なぜ手が伸びなかったのか。一言で言えば「鬼」にリアルを感じなかったからだと思います。
説話文学や古典芸能の中ではかなり重要な役割だったりしますが、自分にとってはあくまでも架空のキャラ的存在止まりでした。それが、たまたま馬場あき子さんのお話を直接聴く機会に恵まれたこともあり、いい加減、読もうと思い立ったわけです。
が、ついさっき夜のニュースに映し出されたある人物の顔を見たら、なんだか背筋がゾクッと来てピンと感じるものがありました。
その男は、ある選挙活動で嘘まみれのSNSを駆使し関係者の一人を自殺に追い込みました。その遺族から名誉毀損で訴えられたのです。記者会見で答えるその顔を繁々見ていると、もしかしてこれが「鬼」なんじゃないのか……と感じました。現代にも「鬼」がいた、と。
『鬼の研究』はこれから読み始めるところです。読み終わった後、その勘がピントはずれだったかどうか…わかるでしょうね。(馬場先)