人生の歩みを振り返って文章にしたり、
書いたり撮ったり描いてきた作品を本にすることで
新しい自分との出会いが待っています。
自分を見つめる
自分史は人生を振り返り、歩んできた道のりや出来事を書き表したものです。また、これまで書いたり撮ったり描いてきた作品を編集することで自分の人生を物語るものです。1975(昭和50)年に、歴史学者の色川大吉さんが『ある昭和史―自分史の試み』で初めて自分史という言葉を使いました。自分史に取り組むことは埋もれていた記憶を掘り起こし、自分を言い表すことでもあります。人生は楽しいことばかりではありません。辛い思い出や苦い経験もあることでしょう。それらの経験や感情と向き合い、表現することで自分への理解が深まり、自信をもって自分を語れるようになります。
自分らしさに気づく
「自分らしさ」を言葉にするのは難しいものです。けれども、自分がこれまでにどのような選択をしてきたかを見れば、どうあろうとして生きてきたのか、その価値観や判断基準が見えてきます。自分らしさを見つける鍵は、過去の自分の行動の中にあります。自分史に取り組むことで、外から見えている自分と、自分からみた自分らしさの両方を重ね合わせた本当の「自分らしさ」が見えてきます。
新しい人との関係に気づく
私たちは多くの人との出会いの中で暮らしています。遠くご先祖から今に至る家族の系譜や、学校や職場など社会生活を通しての出会いを振り返ることで、新たな気づきがあります。年を経てみれば、子供の頃に反発していた親や、若く未熟な時期に反目していた上司や仲間こそ、成長の糧であったと気づいたりします。自分史づくりに取り組んで過去を見直すことは、人生における出会いの意味を知り、未来へとつながるヒントを得ることにつながります。
河野初江●プロフィール
・株式会社 静人舎 取締役
・一般社団法人自分史活用推進協議会代表理事
・自分史サロン(横浜)主宰
岡山県立岡山朝日高校卒業。東京女子大学文理学部(史学科)卒業。
株式会社リクルート入社。リクルート出版部課長および『月刊リクルート』編集長を経て独立。
広報誌、社史、書籍編集実績2万ページ以上。
リクルートの創業者、江副浩正氏自伝『かもめが翔んだ日』、岡山の異色の経営者、岡﨑浩氏自伝『やらにゃあいけんじゃろ』など多くの自伝、自分史、家族史の執筆と編集を手掛ける。
2017年6月より、一般社団法人自分史活用推進協議会代表理事。
【著書】『熱中できるものを探す』(日本経済新聞社)。
《連絡先》Email:kono@wa-o.net