昨日は、こんな酷暑に読書かよ!(「こんな夜更けにバナナかよ!」のもじりのつもり)と思わず叫んでしまそうな熱暑をモノともせず、4人の中高年が集い、一人のゲストをお招きして気温に負けないくらいの熱〜い読書会となった。皆さんお疲れ様でした!

 今年4月から始めた月いちの読書会も5回目になる。2回目以降、『女のいない男たち』(村上春樹)、『まとまらない言葉を生きる』(荒井裕樹)、『プリズン・サークル』(坂上香)、そして今回の『暁の宇品』(堀川恵子)と読んできたが、それぞれ、人の心の地下層、言葉の脆さ、罪と罰、戦争の実相……のあれこれを巡って、ふやけた頭と心を揺さぶってくれる導師のような本だったように感じている(詳細は当HPに近日アップ予定の「〈ふふふ読書会〉だより」をご覧ください)。

 こんな読書会をやっているのが、小田急線I駅下車、徒歩10秒という驚きのアクセス条件にある隠れ家的喫茶店「ふふふ」だ。劇団四季の稽古場を設計した建築家のご主人が自宅1階の書斎を改装して造っただけあって、一見、山小屋風、とても喫茶店には見えない。多摩山荘とでも言っておきたいような。

 小さな川に面した採光抜群の大きな窓側以外の二つの壁面は天井まである造り付けの書棚になっていて、私の好きなタイプの小説や人文書の名著がギッシリ。ブックカフェともいえるそんな雰囲気に惹かれて、かつてはよく通っていた。ところがご主人が2年前、病に倒れ亡くなってしまい、それ以来、店は閉じられたままになっていた。

 ああ、あの店をこのまま終わらせてしまうのはなんとも惜しい! と思った私は、地元のIさんと二人、残された奥様を訪ね、再会のご予定はないのかお伺いしてみた。元々がご自宅の一室を改装して地元の気の置けない知人友人たちを招いて歓談するためのスペースとして開いた店だったので、主催者だったご主人亡きあとは改めて開店するお気持ちはないとのことだった。コロナ禍も続いていたし。

 そうか、再開は無理か……と諦めかけた私だったが、その時、ここを読書会の場として、お借りすることはできないだろうか、とひらめいた。私自身がカウンターの中で珈琲を淹れれば(←これがやってみたかった!)、参加者は、珈琲代一杯分程度の参加費(→ふふふ使用料として奥様にお支払い)で済む。おおグッドアイデアと、再度お店を訪ね、お話ししたら、ご快諾いただいた。

 今年1月から開始予定がコロナ禍で4月開始に延びたものの、お声がけした本好きの仲間たち老熟男女が、毎回遠くからも足を運んでくださってありがたい。できればいつまでも続けたいと思うのだ。

 この店を初めて訪れたとき(5、6年前)、ご主人に店名「ふふふ」の由来を尋ねたら、ご主人は側にあったメモ用紙にささっと一筆書いて、見せてくださった。

  三月の甘納豆のうふふふふ

 坪内稔典さん(俳人)のこの句が好きなんですよ、とはにかんで言われたご主人のその顔を今でもよく覚えている。