明けましておめでとうございます。

 前回書いてから3か月近くサボってしまいました。もし読んでくださっている奇特な方がいらしたら、ゴメンなさい。気持ちも新たに再開いたしますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします。といっても相変わらず、本のことや本にまつわる話題ばかりですが……あなたが本好き仲間であることを期待して。

 昨年は新たに「ふふふ読書会」を始めたので、今は月に4つの読書会に参加している。

 一つは古典(源氏物語)の輪読なので、それはおくとしても、毎月3冊は必ず読まねばならない。短めの小説なら2、3時間もあれば読めるが、300頁超えのノンフィクションとなると2、3日かかることもある。年末12月には太宰治の「右大臣実朝」を読んだが、文中に古典『吾妻鏡』の原文が結構頻繁に入っていたりして、それもじっくり読んだので、結構時間を取られた。短いなと思っていたが、なんと太宰の小説では一番の長編らしく、これで今まで読んでいなかった太宰の長めの作品(『津軽』とか)も楽に読めるような変な自信になった。昨年1年間見通したNHK大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」のおさらいにもなったのは嬉しい副産物だった。

 12月には、このほか『寺山修司の百首』と弊社新刊の『松も昔の』を読んだ。後者の著者は、実は我が家の近くに住まわれている元大学教授の方。7年前、静人舎を立ち上げた際、最初に著者(書評集『書棚から』)になってくださった恩人のような人だ。毎月1回、教授のご自宅の居間を読書会の会場にさせていただいて続けてきた。その読書会の参加者は私以外は教授の大学時代の教え子が主で、今年の2月でいよいよ4年目に突入する。

 昨年末の12月は、3年目の区切りもいいとあって、特別課外授業ではないけれど、教授ご自身の新刊著書をみんなで読む、それも場所を「鎌倉文学館」の講座室でやりましょう、ということになった。なんと部屋の使用料は要りません、入館料500円だけ払っていただければどなたでも(鎌倉市民以外でも)自由に使えます、という話を仕入れたので、じゃあそこで、ということになった。

 講座室は1階にあり、窓からは手入れの行き届いた芝も鮮やかな広い庭園が見渡せ、1階上の談話室の窓からは、遠くに由比ヶ浜の海の煌きが望める素晴らしい場所だ。部屋は大学のゼミルームのように、片側にパタンと折りたためる本置き用の小型テーブル付きの椅子が20、30脚ほど。参加は7人なので、7脚を円座に並べ直して座った。ああ懐かしい、半世紀前に卒業した大学のゼミを思い出して、一瞬、懐旧の念に耽ってしまった。参加されたほかのメンバーもそうだったのではないだろうか。

 いつもの読書会では、博覧強記の教授のお話を聴く時間も多いけれど、この会だけは教授にまな板の鯉になっていただいた。みなさん遠慮なく鯉を捌いてその味を楽しんでいただけたようで、教授ご自身もこの日はニコニコと「聞く人」に徹しておられた。

 2時から4時までの2時間はあっという間に過ぎ、語り足りない分は、夕方から予約を入れてあった由比ヶ浜駅近くの日本蕎麦屋「松原庵」で続けた。

「鎌倉文学館」と「松原庵」──読書会などの会合には絶好の組合せだと思いますよ、本当に。お勧めです。